スクールカウンセラーと呼ばれる心理の専門家が日本で初めて配置されたのは1995年、その後、2001年に文部科学省によって事業化され、中学校を中心に拡大していきました。今では全国的にその存在は知られるようになり、「チーム学校」一員として欠かせない存在となっています。
中学校から広がっていったスクールカウンセラーですが、早い段階から小学校や保育所などにも「予防的観点からスクールカウンセラーを配置してほしい」「幼児期にもカウンセラーが必要」という声が上がっていたようです。(丸山、2022)
それを受けて、紆余曲折ありながら、徐々に保育や幼稚園の現場で心の専門家が活動できるような流れになってきました。そして2021年8月23日、幼稚園においてもスクールカウンセラーの規定を準用するよう学校教育法施行規則の一部が改正されました。(丸山、2022)
Alles Kinderの活動もこの改正に後押しされました。子どもの発達は連続性です。小学校で現れた困難は、きっと幼少期になにかサインが出ていたはずです。早い段階で支援を得られていれば、困難へ立ち向かう方法がより多く持てるのではないか…と思います。また、子どもだけでなく、保護者に関しても、子育てに対する心配や不安が小さいうちに、心理の専門家に気軽に相談していくことで、相談することに慣れてもらえると思います。「相談すると自分の育児について怒られるんじゃないか、笑われるのでは…?」と思われる保護者も少なくありません。「そんなことは決してないよー!」と大きな声で言いたいです。もちろん、相談することは勇気がいるということもわかります。勇気を出して思いを打ち明けてくれたことに労いと感謝の気持ちをもってお話を伺っていきたいと思っています。そして、一緒に解決策を考えていければ、とても嬉しいです。
また、園の先生方からすれば、カウンセラーをどのように活用していけばいいのかわからないというのも本当のところだと思います。カウンセラーは、保護者対応だけでなく、気になる子どもの行動観察をし、先生方と情報共有をし、園生活での困り感を軽減していくお手伝いができます。「それなら巡回相談と一緒では?」と思われるかもしれませんが、キンダーカウンセリング(スクールカウンセリングの幼稚園版)は、カウンセラーが定期的に園を訪問し、子どもたちの園での普段の様子を把握した上での行動観察やコンサルテーションとなります。子どもの変化に気づくためには、普段の様子を把握しておくことが非常に大切です。また、提案した支援方法を実施し、効果の検証をスムーズに行えます。
とはいえ、園によってニーズは異なると思いますので、各園に適したものをご提案していきたいと思っています。
(参考文献)丸山直子(2022)「幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド」
